連日さまざまな報道がされているアメリカ大統領選挙ですが、「どんな仕組みになっているのか?」をきちんと説明できる人はどれくらいでしょうか?
「トランプが駄々こねている!」
「バイデンが不正した!」…
その程度の知識では、アメリカ大統領選挙を冷静にとらえることはできません。
- そもそも、アメリカ大統領選挙ってどんな仕組み?
- 不正が起きるとしたら、どのタイミング?
このあたり今一度確認していきましょう!
アメリカ大統領選の仕組みを超簡単に解説!
アメリカ大統領選挙は、大きく分けて以下のステップで行われます。
- 予備選挙
- 本選挙
- 選挙人獲得数で勝利が決まる
「ピンとこない」という方がほとんどだと思うので、めちゃめちゃ簡単にして解説しますね。
アメリカ大統領選挙の仕組み①まずは予備選挙
まずは予備選挙というものが行われるのですが、実はこれにかかる期間が最も長く、7~8か月もかかります。
アメリカという国は、共和党と民主党の2つの二大政党があります。
実際にはこれ以外にも政党はありますが、共和党と民主党がメインで、他の党は大統領を輩出できるほど強くありません。
なので、毎回かならず「共和党か民主党どっちかから大統領が選ばれる」と思ってくださいね。
その2大政党、共和党と民主党ですが、いきなり一騎打ちになるわけではありません。
まずは「予備選挙」という形で、「共和党の中での大統領候補を決める戦い・民主党の中での大統領候補を決める戦い」があり、党内の戦いを勝ち抜いた人が、党を代表して大統領選挙にいどむことができます。
今回の選挙では、トランプ大統領が共和党代表として、バイデン候補が民主党代表として一騎打ちしていますね。
予備選挙は、党内で何人もの候補者が出され、党内の投票にて、共和党・民主党のそれぞれの代表が決まります。
厳密にはこれも「投票」なので不正が起きる可能性はありますが、トランプ氏が現在訴えている不正は、「予備選挙」ではなく、この後の「本選挙」についてです。
アメリカ大統領選挙の仕組み②本選挙
本選挙は、7~8か月もかかる予備選挙とは違って、約2か月で終わります。この本選挙が最も盛り上がるタイミングですね。
本選挙では、共和党と民主党それぞれの代表について、各州の一般の人々が「どちらが大統領にふさわしいか」を考えて、投票していくものです。
予備選挙は、党内の政治家による投票。本選挙は、一般の国民たちによる投票です。
バイデン氏・トランプ氏は、この「一般の人々」の票が欲しくて欲しくてたまりません。
だから、全国各地に演説してまわるんですね。
本選挙で投票するのは、アメリカ国内の有権者。
投票所に直接出向いて投票することもあれば、都合が合わない人・投票所に向かえない人は、「不在投票」という形で投票用紙を郵送して、投票することもあります。
アメリカ大統領選挙の仕組み③選挙人獲得数で勝敗が決まる
本選挙では、それぞれの州で「どちらの候補(今回だったらバイデンorトランプ)が、1票でも多く相手より獲得できるか」を競います。
でも、大統領選に勝利できるかは、この1票1票の多さではありません。
各州内で、1票でも多く獲得できれば、「〇〇州を獲得」となります。たとえ100票対101票の僅差であっても、1票でも多いほうが「州ごとまるまる獲得してしまう」ということです。
「〇〇州を獲得」すれば、州の規模数(基本的には人口)応じたポイントが加算されると思ってください。
例えば、3ポイントの州を10か所獲得するのと、30ポイントの州を1か所獲得するのでは、ポイントは同じになります。
最終的にそのポイントが多い方が、大統領になるという仕組みです。
正確には、ポイントではなく「選挙人」という言い方をしますが、ここが分かりにくいと思う人も多いですよね。
ただ、選挙人は、「州の代表として自分に票を入れてくれる人」なわけですが、あらかじめ誰に入れるかは示し合わせてありますので、「選挙人の数=そのままポイントとして獲得できる」と考えておけばOKです。
大規模な州、例えばフロリダ州などはその分ポイントが高いので、候補者はめちゃめちゃ力を入れて演説にまわります。
また、大きな州を獲得できれば、その分大きくリードできるわけなので、票の開票は盛り上がるんですね。
アメリカ大統領選挙では郵便投票で不正が起きた?
今回のアメリカ大統領選挙では、郵便投票での不正が取りざたされています。
「郵便投票」って何なのでしょう?
ここをおさえておくと、ニュースが格段に分かりやすくなりますよ。
「不在投票」と今回問題になっている「郵便投票」は同じもの?
不在投票と郵便投票は全くの別物です。「不在投票」は、「選挙に行けないから投票用紙を送って!」とお願いした人にだけ届くものなので、「別人がその用紙を使って投票する」などの不正が起きにくいです。
しかし、今回問題になっている「郵便投票」は、州が一方的に投票用紙を有権者に送るもので、過去にはすでに亡くなっている人のぶんまで届いたり、なんとネコの分まで届いたという事例も報告されています。
アメリカは戸籍管理が甘いので、必要ない分まで投票用紙を生産して、各家庭に送ってしまうということは、充分に考えられるわけです。
なお、「郵便投票」はすべての州で同様のやり方で行われるわけではなく、事前に請求しないといけなかったり、投票に行けない理由を申告しなければならない州もあります。
今回は新型コロナの影響で、郵便投票の利用が増え、その結果、ずさんな管理体制のもとで配布された投票用紙により、配る票数がそもそも合っていないという可能性はなきにしもあらず…
そのようにして多く配られた郵便票が、不正に投票に利用された可能性もありますね。
アメリカ大統領選挙の闇?自動車免許と一緒に不法移民も有権者登録されることもある
郵便投票であれなんであれ、投票用紙は「有権者登録」されている人のもとに届きます。
その「有権者登録」自体がおかしなことになっている可能性も、充分にあります。
たとえば、マサチューセッツ州やワシントン州など17の州では自動車免許を取ると自動的に有権者として登録されるのですが、その中には不法移民も自動車免許を取得できる州もあります。
そうなると結果的に本来は有権者でないはずの人が有権者登録されるという事態が起きてしまうんですね。
「投票率200%がおかしい!」なんて言われていますが、そもそも選挙のシステム自体がかなりグレーなんですね。
数字がぴったり100%になることは、アメリカにおいてはあり得ないと思った方がよさそうです。
アメリカ大統領選挙ではトランプ対ヒラリー選でも郵便投票が無効になったことがある
2016年の大統領選挙で、トランプがヒラリーに勝ったウィスコンシン州の選挙では、2万3000票以上の郵便投票が無効になり、いったん勝利が取り消されています。
無効になった理由まで詳しくはわかりませんが、郵便局員が買収されたり、さまざまな理由で郵便投票は不正が起こりやすく、その分、投票結果がおかしくなりやすい。
でも、当時は「トランプが不正でヒラリーを負かした!」などと大騒ぎになったわけではありませんよね。そのあとトランプは普通に大統領に就任していますし。
郵便投票で不正が起きているという話が大きくなっていますが、過去にも不正らしきことは行われていました。
それが、大統領候補者自身が間接的に支持したものなのか、熱狂的な党の支持者がみずから行ったことなのか、切り分けはかなり難しいのではと思います。
アメリカ大統領選挙ではもともと不正が蔓延していますが、思い切って訴訟に出なければ、それが暴かれることはありませんでした。
今回はトランプ氏が訴訟に乗り出していますが、
- もともと不正だらけであることを分かっている
- 真相は訴訟をしてみなければ分からない
ということを理解しているから、「このままじゃ負けるから、ダメもとでも訴訟してみる!」という行動である可能性もあると、筆者は考えます。
まだまだ選挙の結果は出そうにありませんね。