全世界が注目しているアメリカ大統領選挙の結果ですが、バイデン元副大統領が当選に必要な投票数の過半数を獲得し、ついに決着がついた状況です。
そこで、トランプ大統領とバイデン元副大統領の政策の違いをわかりやすくまとめてみました。
また、バイデン氏が大統領になったら、日本にはどんな影響があるのか、考察してみました。
バイデン氏とトランプ氏の政策を比較。違いはどこ?
今回の米大統領選では、再選を目指す現職の共和党トランプ氏と、民主党のバイデン前副大統領が対決しました。
主要問題への対応や世界観が大きく異なる2人の候補者の間で、有権者は選択を迫られることになりましたが、7つの主要争点がありました。
お互いの主張を簡潔にまとめてみました。
1 経済
バイデン氏:
慎重姿勢。新型コロナ検査体制を強化しないままで経済を再開することに警戒しています。
減税についても反対し、個人所得税の最高税率を37%から39.6%に戻すと公約。
低所得者向け税額控除の拡大を支持すると発表しています。
トランプ氏:
可能な限り早期の経済再開を州に呼び掛けています。
減税には賛成しており、景気回復が厳しい間の増税政策に反対すると表明しています。
2 人種問題
バイデン氏:
人種間格差をなくすために投資することを表明。
像や旗の撤去を行った抗議活動も支持しています。副大統領候補の人選には米国の人種的多様性を反映させると約束しており、カマラ・ハリス氏が黒人としても女性としても初の副大統領になろうとしています。
トランプ氏:
平和的抗議活動を行う人々を支持しています。
補佐官やホワイトハウスのスタッフに、黒人はわずかしかいません。
3 医療保険制度
バイデン氏:
医療保険制度改革法には賛成。
バイデン氏が提案する医療保険制度には10年間で7500億ドルが必要になる見通しで、バイデン陣営は富裕層への増税で財源を賄うとしています。
増税により高齢者向け公的医療制度の拡充を目指しています。
トランプ氏:
医療保険制度改革法には反対。
バイデン氏が表明している増税による医療制度の拡充には反対しています。
薬価の引き下げを表明しており、より有効で低コストな医療保険制度を実現するとしています。
4 移民政策
バイデン氏:
新型コロナウイルス流行中の移民の入国制限には反対。
トランプ大統領が行った移民政策の撤廃を目指し、不法移民であっても一定の条件を満たせば市民権取得可能を目指しています。
トランプ氏:
新型コロナウイルス流行中の移民の入国制限には賛成。
不法移民の摘発を強化し中東などの7カ国からの入国を制限。
外国人永住権の発行は2020年内は見合わせています。
5 気候変動
バイデン氏:
自動車の排ガス規制については賛成。
副大統領を務めたオバマ政権時代の自動車排出基準を強化したい考えです。
トランプ氏:
自動車の排ガス規制については反対。
オバマ前政権による基準の緩和を発表しています。
6 外交政策
バイデン氏:
対中関税については反対。
農産物に対する関税は撤廃するとしています。トランプ政権の関税引き上げによる経済戦争を批判しています。
トランプ氏:
対中関税については賛成。
中国からの輸入品に関税をかけました。
また中国がサイバー攻撃やスパイ活動でアメリカの技術を盗んでいることなどについて追加関税をかけるといっています。
新型コロナウイルス感染拡大で中国の責任を激しく追及しています。
7 テクノロジー
バイデン氏:ソーシャルメディアの規制については賛成。
ユーザーが投稿したコンテンツに対する法的責任を免除する通信品位法230条の撤廃を求めています。
トランプ氏:ソーシャルメディアの規制については賛成。
IT企業が保守派を検閲していると、何の証拠もなく非難しています。
バイデンが大統領になったらどうなる?日本への影響は?
実際にバイデン氏が大統領になったらどのようなことが予測されるでしょうか?
政策比較から考察すると、トランプ氏と政策から、オバマ前大統領の政策を強化していくような姿勢が見受けられます。
特に、環境やテクノロジー関連、医療精度改革など、よりアクセルをかけて行っていくように感じます。
日本も遅れを取らないよう、より一層の努力が求められそうですね。
また良くも悪くも、トランプ氏のような強行的姿勢と異なり、淡々と外交を進めていくように感じます。
米中間のやりとりも、見えやすい表面的圧力というよりは、ジワジワ水面下で推し進めていきそうです。
11月9日現在、日経平均株価も大きく上がっており、日米の関係性を保っていくことで、日本自体の価値は上がっていくように思います。
バブルの時ように、物の価値と国民の懐が一緒に上がっていくかどうかは、考えるべき観点の一つになりそうですね。
バイデン元副大統領とは?
政権奪還を目指すジョー・バイデン前副大統領は東部ペンシルベニア州、スクラントンの出身でカトリック教徒です。
中産階級の家庭に生まれ、上院議員を36年間、オバマ政権で副大統領を8年間務めた中道派の重鎮です。
オバマ大統領の影で支えていた存在とは、今回の大統領選があるまでは日本ではあまり知らなかった人も多かったようです。
バイデン氏は家族を不慮の事故や病気で亡くした過去があります。
弁護士を経て、バイデン氏は1972年11月、29歳の若さでデラウェア州から上院議員に初当選。
翌月、クリスマスの買い物に出かけた、最初の妻ネイリアさんと3人の子どもが乗った車がトラックとの衝突事故に巻き込まれ、妻と長女を亡くしました。
その後シングルファザーとして息子を育てた苦労人です。
後に再婚を果たし、じきにファーストレディーになるジル・バイデン氏と二人三脚で政権奪還を目指していました。
ファーストレディーとなるジル氏は教師の仕事をしており、ファーストレディーになった後も教師の仕事を続けると断言しています。
”アメリカ大統領の妻”が自分の教師だったらと考えると生徒さんが羨ましいです。
悲しみを理解しつつ、くじけない復元力を併せ持つのがバイデン氏の魅力です。
政治アナリストのビル・シュナイダー・ジョージメイソン大教授は新型コロナウイルスによって米国で16万人超が死亡している現状を踏まえ、「バイデン氏のほかに、悲しむ米国人をつなげられる政治家は見当たらない」と語っています。
まとめ
当選に必要な投票数の過半数を獲得したバイデン氏。
ですがトランプ大統領が訴訟を連発し、選挙の結果を法廷で争おうと試みています。
今後の大統領選の動向には目が離せません。
また、アメリカ大統領選の結果が日本にどのような影響をもたらすのかも注目されるポイントです。
今後の動向に注目していきたいところです。