安楽死を題材とした話題の新作「ドクターデスの遺産」のモデルとなった人物や、原作と映画の犯人が異なる?噂などについて詳しく解説します。
「実在した医師をモデルにした作品」であると言われているこちらの映画ですが、どんな内容なのでしょうか?
ドクター・デスの遺産とは?
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本日 #日本映画ナビ 発売✨#岡田健史 さんと #深川栄洋 監督の
インタビューが掲載されております@standardfilm2 #ドクターデス の遺産 11.13(金)公開https://t.co/Bytz8OhMmf— 映画『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』公式 (@doctordeath1113) November 2, 2020
映画「ドクターデスの遺産」は、2010年1月に「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞した「さよならドビュッシー」でデビューし、今年で10周年を迎える作家・中山七里の同名小説が原作となっています。
綾野剛さん演じる警視庁捜査一課の敏腕刑事・犬養隼人を主人公としたシリーズの第4作目です。
過去のシリーズ作品と同様に、「実在した有名なダークヒーローをモデルにする」ことを作品の要としており、今回モデルに使われたのが「ドクターデス」と呼ばれるアメリカの連続猟奇殺人犯になります。
「どんでん返しの帝王」と言う異名を持つ中山七里原作作品だけに、今回もクライマックスにどんな「どんでん返し」が起きるのかが期待できる作品です!
モデルはどんな人物?
ドクターデスの遺産のモデルとなったのは、アメリカで実際に起きた安楽死事件の犯人である「ジャック・ケヴォーキアン」と言われる男です。
「ジャック・ケヴォーキアン」。「死の医師」と呼ばれ、末期の患者を尊厳死させる自殺装置「死の機械」タナトロンや「慈悲の機械」マーシトロンを開発しました。テレビで患者の死を記録した映像が公開され、激しい議論を呼び、殺人罪で有罪となりました。書肆ゲンシシャでは死の歴史書を扱っています。 pic.twitter.com/fsJdaNVC42
— 書肆ゲンシシャ/幻視者の集い (@Book_Genshisha) December 29, 2019
病院で病理学者として働いていたケヴォーキアンは、1980年代から安楽死についての研究を進め、1989年に自作の自殺装置を開発し自殺幇助の活動を始めました。
「人には生きる権利と、死ぬ権利が平等にある」
「死にたいあなたへ 最期は楽に殺して差し上げます」
という言葉を使い、末期病患者に積極的に安楽死を推奨し、殺人を繰り返していたケヴォーキアン。
安楽死を繰り返し行ったケヴォーキアンは、1999年に殺人罪で有罪10~25年の不定期刑が下されますが、2007年に健康状態の悪化から仮釈放となります。
ケヴォーキアンは、仮釈放後は自殺幇助は行っていないものの、積極的安楽死についての啓蒙活動は続けました。
そして、2011年に腎臓疾患にて83歳の生涯を閉じることになります。
どんな実話を描いている?
ドクターデスの遺産は、1989年にアメリカ・デトロイトの病院で医師として働く傍ら、自作の自殺装置を開発して末期病患者の自殺幇助をし、総計130人を自殺装置にて尊厳死させたケヴォーキアンの連続猟奇殺人事件の実話がモチーフとなっています。
自作の自殺装置にて多くの末期病患者を尊厳死させたケヴォーキアンは、「殺人医師」「死の医師」などという呼び名で有名になりました。
その後も自殺装置を自力で動かすことができない患者に対し、ケヴォーキアン自らが自殺装置を作動させて死亡させたことにより、第一級殺人罪で告訴され有罪判決が下されることになります。
一方で被害者遺族は、安楽死を請け負ったドクターデスに対し感謝するとともに「罪ではない」とかばう人が多く、命に対する価値観や考え方、そして「正義とはなにか?」を深く考えさせられる事件の1つです。
【ネタバレ注意】原作と映画の犯人が違う?
しかし、実はドクターデスの遺産は、このジャック・ケヴォーキアンの実話の映画ではありません。
あくまでも「ケヴォーキアンの実話からヒントを得て作られたフィクション映画」です。
中山七里自身もインタビューにて、「作品を書く際には調べたり取材を行うことは一切せず、全て自分の想像力のみで執筆している」と答えていることから、実際に存在した猟奇殺人犯のケヴォーキアン医師の存在から、中山七里がインスピレーションを得て生み出したオリジナル小説が原作となっているのでしょう。
映画の中の「ドクターデス=真犯人」は、過去に「ドクターデス」と呼ばれたジャック・ケヴォーキアンではなく、ケヴォーキアンを「自身の神」であるかのように崇拝している人物です。
そして、ドクターデス・ケヴォーキアンが遺した「遺産(積極的安楽死)」を引き継ぎ、安楽死殺人を繰り返していくのです。
また、映画自体もドクターデスの遺産の原作小説とは異なる部分があり、岡田健史さん演じる新米刑事・沢田は、原作小説には登場しない本作品オリジナルの登場人物です。
このように、映画では小説とは異なる人物が他にも登場する可能性は高いため、原作とは違うオリジナルのストーリーを期待することができます。
まとめ
映画「ドクターデスの遺産」は、アメリカに実在した医師の「ジャック・ケヴォーキアン」がモデルです。
映画の内容も、もちろんケヴォーキアンの猟奇殺人事件をモチーフにしてはいますが、内容がすべて実話に基づいているわけではありません。
あくまでも、ケヴォーキアンとその事件を元にはしていますが、実際の原作となっている小説の内容は「完全なるオリジナル作品」でありフィクションであるからです。
そして、ドクターデスの遺産は映画化されたことにより、原作と異なる部分がたくさんあります。
中山七里だからこそのクライマックスの「大どんでん返し」は、映画では原作とは違うオリジナルのストーリーになっている可能性も高いため、衝撃の展開を期待することができるのではないでしょうか。