第164回芥川賞受賞作「推し、燃ゆ」。
デビュー作「かか」で三島由紀夫賞を最年少受賞した期待の21歳作家・宇佐美りんさんの2作目です。
いま話題のこの小説、もうお読みになりましたか?
「honto月間ランキング2021年1月度月間ランキング総合1位」を獲得し、本屋大賞にもノミネートされました。
同世代の20代から絶大な支持を受け20代ランキングでも第1位、さらに40代ランキングでも第5位にランクインしており、幅広い年齢層の読者から支持されている作品ということが分かります。
2021年1月29日時点で既に20万部を達成し、早くも2021年を代表する作品となっております。
漫画やアニメの登場人物・俳優や女優・アイドル… 自分の好きな人を応援したいという気持ちは誰の中にもあると思います。
そのような特定の人を応援する、「推す」という表現を最近ではよく耳にしますよね。
自分の推している人を他の人も推していると知ったら、その「推し」の魅力が共有できとても嬉しい気持ちになれますよね。
しかし、もしその自分の「推し」が他人に否定されたら?
もしある日突然自分の「推し」が炎上したら、あなたはどんな気分になるでしょうか。
この小説は、そんな「推し」に着目したお話となっております。
この記事では、『宇佐見りん「推し、燃ゆ」のあらすじ・ネタバレ!結末は?感想と評判も【まとめ】』ということで情報をまとめてみました。
それでは早速本題に移りたいと思います。
推し、燃ゆ」(宇佐見りん著)のあらすじ
逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。
ままならない人生を引きずり、アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐ女子高生あかり。
彼女の目的は「推し」を解釈し、彼の視点で世界を見ていくことだった。
そんなある日、推しのアイドル真幸がファンを殴ったとSNSで炎上し…。
推しの為に人生と情熱を捧げた女子高生あかりの苦難と困難を描いた圧巻の作品です。
「推し、燃ゆ」のネタバレ
「推しが、燃えた」
上野真幸がファンを殴ったとしてSNSで炎上するところから物語は始まります。
この事件をきっかけに真幸が所属するアイドルグループの人気は急落し、彼の熱烈なファンたちはそんな真幸を支えようとCDやグッズなどを大量購入し売り上げに貢献し続けます。
所謂「推しに貢ぐ」という状態です。
主人公あかりも女子高生の傍らアルバイトで稼いだお金をすべて真幸のために貢ぎます。
その結果、推しに熱中しすぎるあまり学業が疎かになり高校を中退。
あかりには発達障害があり、就職活動も何もかもうまくいかない世の中に悲観しているが、「推す」ことで生きていける。
「推す」ことこそが自分の生きる意味であり、存在価値であると。
しかしそんな中、真幸の所属グループの解散と彼の芸能界引退が発表されてしまいます。
執着・喜びと悲しみ・人間の生々しい感情が交錯する物語です。
「推し、燃ゆ」の感想・評判は?
正直なところ、主人公あかりに100パーセント共感できる読者はなかなかいないと思います。
特に、特定の誰かのファンになったことがない人には全く共感できないでしょう。
しかし例え共感できないとしても、「推し」という現代社会のテーマを絶妙に描いた他に類のない非常に考えさせられる作品です。
また、実際に「推し」がいるという方は主人公あかりに共感できる部分が多々あり、より彼女の生き方について理解を深めることができるのではないかと思います。
読者の方からは、「テンポ良く、かつ繊細な感情を巧みに表現する今作は、あっという間に物語の世界に引き込まれ心に刻まれる」、「推すという行為についてリアルに描かれており、胸に突き刺さる素晴らしい表現」と絶賛されております。
ネットの声
#推し燃ゆ #読了
うまく生きられない。周りからの理解など特段必要ではない。ただ何かのために生きる。つらい。でも痛くない。
タイトルこそ「燃」の文字だけど、ジリジリと「焼」けるような物語だった。 pic.twitter.com/c3tQXm4TJZ— あめこえ (@ame_koe1994) February 11, 2021
おはようございます🎵
芥川賞受賞作 #推し燃ゆ 読了。推しを自らの背骨のように生きる主人公あかり。ある出来事から崩れて行くその世界。這い出して生きれるのか。推しをもつ人の背景。息が詰まる一編。一気に読めた。桜色の表紙が哀し春ともし
AYAKO
令和3年2月11日 pic.twitter.com/2Dg6lLXK2G— スカ―レットAYAKO・ M (@8Pi1iDxOEgHuatP) February 10, 2021
まとめ
人間は生きるためには、何かしらのやりがいや生きがいが必要であると思います。
それがなければ、人生は空虚でつまらないものになってしまいます。
それがあかりにとってはアイドルを「推す」という行為であり、傍から見たらそれで人生を狂わせてしまうあかりは滑稽な人物に思えるでしょう。
しかし、それがなければ彼女は彼女でなくなってしまうのです。
いま「推し」がいる方も、いないという方も、この小説を読むことで「心の支え」や「生きること」について深く考える良い機会になるのではないでしょうか。